「自立への挑戦」 好きな絵に関係することが仕事になったら、夢のよう! 六鹿 香
「自立への挑戦」
好きな絵に関係することが仕事になったら、夢のよう!
生まれつきの障がいを持ちながらも、何事にも積極的に明るく前向きに生きてきた六鹿 香。
絵と出合い、また大好きな趣味を通しながら、社会と向き合ってきました。
22歳という若さで一人暮らしを始めたのも、大好きな絵を描く環境を整えるため。
絵を描くことで自立を目指し、懸命に努力しています。
■プロフィール
氏名:六鹿 香(むしか かおり)
肩書:画家・口と足で描く芸術家協会所属
2015年、第21回NHKハート展に入選
2015年、「G7伊勢志摩サミット2016」のロゴマークのコンテストで入賞
1999年2月愛知県生まれ。
三重県四日市市で育ち、今は愛知県で一人暮らしをしています。
未熟児として出生、手足等が動かずに、生後4カ月で「先天性多発性関節拘縮症」との診断を受けました。
小学校入学後は、特別支援学級に6年間在籍。
その後、特別支援学校中等部、高等部を卒業しました。
パソコン検定3級の資格を持ち、介護施設に就職。
口にくわえたペンでパソコンを操作し、職員のシフト表や情報の入力作業、イベント用のチラシなどを作成していました。
現在は絵に集中するために退職しています。
生まれつきの障がいを持つも、前向きに成長してきた
六鹿 香は未熟児として生まれ、手足が動かなかったために生後4カ月の時に受診すると、「先天性多発性関節拘縮症」との診断を受けました。
しかし、家族はできるだけ、普通に生活が出来るようにという考えを持っていました。
自分で出来ることは、可能な限り自分で行わせ、自立を促すように育ててきました。
本人も障がい者だからと言って特別扱いはしてほしくないと考えて、成長してきました。
積極的に生きたいと望んでおり、外に出ることも好きです。
休日には、電動車いすを使い一人で外出し、ミュージシャンのライブ演奏や大好きなアニメなどにも行っています。
バリアフリーではない会場が多く、大変な経験も多々ありましたが、それを忘れさせるくらいの趣味に出会えたことは、生きる上での大きな喜びです。
また、アニメのおかげで絵を描くことがさらに好きになっていきました。
とは言え、まだまだバリアフリーが行き届いていない場所はたくさんあるので、バリアフリー化が進んでくれたらいいなと、本人は思っています。
幼いころから好きだった絵やデザイン
口での書字描画は、保育園のお絵描きの時間に、先生から教えられ口で描いたのが最初の試みでした。
周りのみんなと同じことができるということが、とても嬉しかったそうです。
絵を描いているときは自分のハンデを忘れることができ、お絵描きに集中していました。
その後、文字も口にペンをくわえて書くようになります。
デザインや絵画なども幼いころから好きで、高校時代からはスマートフォンのアプリを使って、絵やデザインを描いていました。
ここでも、積極的な面がうかがえます。
2015年、第21回NHKハート展に入選。
著名人が描いた絵と、六鹿が作った詩のコラボレーション作品が入選しました。
2015年の16歳の時には、2016年に開催された「G7伊勢志摩サミット2016」のロゴマークのコンテストで、デザインしたマークが入賞しています。
ロゴマークは普段描いている絵と全く異なるので、デザインが固まるまですごく時間がかかったそうですが、7,000点を超える応募作品の中から、公表された14作品の候補の中に選ばれたことは、大きな自信に繋がりました。
入賞したロゴマーク
好きな絵で自立へ向かう
特別支援学校卒業後は、介護施設に就職。
パソコン検定3級の資格を持ち、口にくわえたペンでパソコンを操作し、職員のシフト表や情報の入力作業、イベント用のチラシなどを作成していました。
しかし、もっと積極的な社会参加を望んでいました。
そんな時に、地元で開催した口と足で描く芸術家協会の絵画展で、ケアマネージャーにより協会を紹介されました。
将来、自立できる希望を持てると思い、協会への参加を希望。
出版社から画材などの援助を受け、描画の練習を重ねています。
まず始めには、コピックというアルコールインクのマーカーを使っていました。
ペンのキャップを自分で外して、口にくわえ、色を塗っています。
アニメーションが好きで、好きなキャラクターの絵を描いたりしています。
現在は主に色鉛筆で描いています。
デザインや絵画などの作品を通して、社会経験を増やし、将来の自立に向けて、社会参加をしたいと強く望んでいます。
描画の経験は浅いですが、アイデアも豊富で何でもいろいろな方法で描いていきたいと考えています。
「将来、好きな絵に関係することが仕事になったら、夢のよう!
いろいろな描画にチャレンジして、技術を磨き、多くの人に自分の絵を見てほしい!」
2020年に仕事を辞め、念願の一人暮らしを始めます。
絵を描く環境を整えることができましたので、絵に集中できるようになりました。
一人暮らしを始めるにあたり、本人の言葉
「2020年秋から、憧れの一人暮らしを始めました。
今まで自分の部屋を持ったことがなかったので、描きやすい机の高さやペンの収納などを考えると、自分の部屋が欲しいと思っていました。
また、将来、障害者施設などの入居は自分の性格に向いていないので、早いうちに一人暮らしの準備をしておきたいと思っていました。
さらに、協会に参加したことで、経済的にも自立できる可能性ができ、もっと絵を描く環境を整え、絵が中心の生活を過ごしたいと思うようになりました。
両親はかなり心配していましたが、本人がしたいと言うなら応援するしかないと、最後は納得してくれました。
ご飯のメニューを考えたり、物の位置などヘルパーさんにして欲しいことを正確に伝えたりするのが大変で、両親と暮らしていた時のありがたみを、今はすごく感じています。
でも、家の中を全て自分の好みにできるので、好きな物に囲まれていて楽しいです。
家具などは私の好きなピンクと白でまとめて、私のイラストのグッズもピンクが多いので、飾ると雰囲気が合って気に入っています。
描きやすい環境を整えたので、これからもっとたくさんイラストを描きたいと思っています。
今は主に色鉛筆でかわいい系のイラストを描いていますが、色んな画材道具を試して、自分に合ったもの探していきたいです。」
「落ち葉」 色鉛筆画
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